Eglise Saint Hilaire サン・ティレール (メル・仏)
今年の夏(2015年)フランス西南部のメルにサン・ティレール
(12世紀)を訪ねました。
(馬上の人は)誰だろうか。ロマネスクには極めて珍しい像である。
メルには、三つのロマネスクがあり、地方の小さな町に三つも
あるのはこの町が中世には繁栄していたことが推察出来ます。
サン・ピエール教会堂 Saint-Pierre(ブルゴーニュ・仏)
ブランシオン村(Brancion)の中にある、サン・ピエール教会堂。
窓も少ない重々しい典型的なロマネスクである。
(サン・ピエール教会堂 12世紀)
教会堂の横にはお墓のある墓地教会堂である
教会のそばに葬られることは村民にとって幸せ
なことであった
トンネル・ヴォルトを支えるアーチ状の形(とがっている)ことから
この教会堂の時代がロマネスクの遅い時期に完成したことが
分かる。
教会堂の下には、ブドウ畑などが広がるブルゴーニュの
典型的な姿(風景)である。
サン・ドニ教会堂(南ブルゴーニュ・フランス)
フランス・ブルゴーニュのクリュニー近くの小さな村(Massy)で
まるで掌中の珠といった趣の小さなロマネスクに出会いました。
(サン・ドニ教会堂 11世紀)
この教会堂は窓も少なく何の装飾も見られない
このロンパルディアの香りのする塔に何か愛着を覚えました
この洗礼盤の下部に素朴な文様が見られます
サン・ペア・ダ・ガリガンツSant Pere de Galligants ②内部(ジロナ・スペイン)
今回はロンバルディア帯がまぶしいジロナのロマネスク②である。
(身廊天井)
回廊 ここでもロンパルディア帯がしっかりと目に付く
鳥のセイレンだろうか?だとすれば、古代エジプト→ギリシャ伝来である。
エミール・マールはセイレンについて「女の顔をした異様な鳥はエジプトの
図像からの借用であり、エジプトではそれは肉体から離れた魂の表現に
ほかならなかった。
ギリシャでも長いこと墓石に刻まれていたものだった」(注:1)と述べている。
アンリ・フォションはこの人魚について
「自分の尻尾を両手で掴む人魚」(シレーヌ)(注:2)とよんでいる。
私にはなかなか見応えのある回廊でした。
(注:1 エミール・マール ロマネスクの図像学 図書刊行会)
(注:2 アンリ・フォション ロマネスク彫刻 中央公論社)
サン・ペラ・ダ・ガリガンツ Sant Pere de Galligants① (ジロナ・スペイン)
この元修道院の鐘塔の姿は優美なものだった。
カタルーニアの各地には、似たような鐘塔が見られるが
最も印象的な鐘塔の一つではないだろうか。
(Sant Pere de Galligants 12C)
この浮彫についてロマネスクの碩学,柳宗玄氏は聖樹が上の画像
(十字架、キリストの象徴)と合体して古来の聖樹信仰を
示していると説明されています。
この鳥、左(鷲?),牡牛、中上?の思考はオリエント(古代アッシリア?)から
来たのか。謎は尽きない。
入り口付近の浮き彫りは興味深い。圧倒的な存在感がある。
組み紐的な文様はどこから来たのか?東(アジア・オリエント)か
北(ケルト)か興味深いテーマである。
内部は次回に。
(参考:ケルト装飾的思考 鶴岡真弓 ちくま学芸文庫
ロマネスクの図像学 エミール・マール図書刊行会)
サン・ペドロ・デ・ロダ修道院 Monastery of Sant Pere de Rodes(スペイン)
過去の偉大な修道院はピレネーの東の端の崖に張り付くように
建っていたが、修復の跡も生々しく、その姿はなぜか痛々しかった。
(サン・ペドロ・デ・ロダ・修道院)
この修道院は878年に始まる
ベネディクト派の修道院
現在の建物は10世紀から12世紀建築
修道士は1789年まで居住していた
かってカタルニーアで生活されたことのある作家の堀田善衛氏が著書の中
で「ここで人はどうやって生きることが出来たかと考えさせられる」みたいな
ことを書いているのを読んだことがあるが正に同感である。
中世の厳しい環境の中で生きた修道士はここで生活していたのである。
サンタ・セシリア教会-モロー/Santa Cecilia (カタルーニア・スペイン)
(Santa Cecilia 11C)
塔には、ロンバルディア帯が見える。
後陣の祭室は一つである。
入り口は普通は西側にあるが、珍しいことに
ここは南側にある。
入り口真上のロンバルディア帯の下に
怪物の顔が見える、
ドアの金具 ロマネスクではたまに見かける
金具である。
内部は画像より実際は非常に暗い。それがロマネスク
の特色なのだが。
内部は非常にシンプルである。身廊は横断アーチ付き
の尖ったヴォルト天井である。
祭室といい、内部といい誠にシンプルそのものである。
北イタリアのコモの石工が造ったか、影響を受けているの
だろうが、私は観ていて極めて居心地の良さを感じたもの
である。
ここは、かなり前にたまたま出くわしましたが、久しぶりに
見たくなって立ち寄りました(昨年夏)。
サン・ヴィセンスSant Vicenç /カルドナ(カタルーニア・スペイン)
「翼廊の交差部に円蓋を導入したことは、大型のバジリカ式教会堂の
端緒となった」
( アンリ・フォション)
上記のフォションはさらにリポールのサンタ・マリア教会とこのサン・
ヴィセンスがその先鞭をつけたとも述べています。
今回はこのお城と見紛うようなロマネスクを訪ねたのは二度目である。
(Sant Vicenç 1040年)
城塞に建つロマネスクである。三廊式である。
身廊は横断アーチのついた半円ヴォルト。
円蓋が架せられ、その上に八角形の塔がある。
初期ロマネスクである。祭室にはロンバルディア帯が
張り巡らされている。
( 円蓋 )
(クリプト)
このお城のようなロマネスクは当時の情勢(外部の勢力の)脅威が
迫っていた)のなせる技なのである。
Sant Joan de Caselles サン・ジョアン・デ・カセレス(アンドラ)
(Sant joan de Caselles 11世紀)
(三層の鐘塔)
(入り口付近)
小さな割石が見える
今回で三回目の訪問でしたが、初めて来た時アンドラに入ってすぐのところの
谷間に見えるこの鐘塔を持った小振りなロマネスクは印象的だったことを覚えて
いる。
Sant Climent サン・クリメント教会 (カタロニア・スペイン)
(Sant Climent 11世紀)
カタロニアの小さな村、Nagroにある教会である。
風変わりな昔の煙突を連想させる鐘塔である。しかし素朴なこのロマネスクは
ロンバルディア帯と相まって惹きつけて止まない。
(下部が段々太くなっている)
あまり見たことのない鐘塔である、
(ニッチを見ると積まれた石の形状が分かる)
ロマネスクの石工の作業が忍ばれる細さである。